最前線からのインバウンド新常識!
“観光戦国時代で勝つ”
株式会社ノットワールド 河野有

第6回 ガイド業の超基礎(その1)

GWも終わり、観光としては一息つく季節がやってきました。
この時期にしっかり準備して、夏~秋の繁忙期に向けて準備していきたいものです。
ということで、
今回のテーマは、ゲスト満足に必要な3要素の、コンテンツ・デリバリー・プロモーションから、デリバリー部分にフォーカスしてお届けします。
デリバリーは、提供の仕方によって変わってきます。ツアーを催行している弊社では、【ガイド】となります。

*ツアーによっては、オーディオガイドや、ガイドマップ自体になることもあります。
【ガイド】は、せっかく作ったコンテンツをゲストに伝達する場面で、非常に大事なパートです。
はっきり言って、この部分がツアーのすべてを左右すると言っても過言ではありません。
どんなに素敵な商品でも、ガイドが悪いと台無し。一方、どんなに酷い商品でも、ガイドが素晴らしいと挽回できたりします。
そこまで重要なガイド業の超基礎を、2回にわたって考えていきます。お楽しみください!

今後の予定は、

  • ガイド:2回目
  • プロモーション:1回
  • 読者の疑問にお答え・未来の旅行を考える:3回
  • まとめ:1回

〜内容〜

[1] 世界一ハッピーな仕事!?

ガイド業そのものについて考えてみましょう。
まず旅行は、平和産業と言われます。自国が平和で、行先も基本的には平和でなければ、安全に楽しく旅行は出来ませんね。さらに、ゲストは基本的に、”楽しむ”ために来ています。
(つまり、大前提として、楽しんでもらわねばいかんという事ですね)

そのゲストに対して、自分が好きなものを、ココが好きなんだ、これが素敵なところです、とお伝えすることで、ゲストは満足してくれて、感動して最後にハグして名残惜しく別れる。もちろん仕事なのでお金ももらえる。

ガイドって、なんてハッピーな仕事なのでしょう!!通常のサービス業で、最後にハグするほど感謝されて別れるなんて、あまりありませんね。ガイド業が、世界一ハッピーな職業だってこと、納得いただけたでしょうか。

では、ガイドの別の側面について見ていきましょう。もう一つの側面とは、ガイド業のみで生きていくのは簡単ではない、という事です。ガイドの資格(全国通訳案内士)を持つ人の中で、ガイドを専業でやっている人は非常に少ないです。
(観光庁のデータでは、半数以上が年収200万円以下というレポートもあります。http://www.mlit.go.jp/common/001066340.pdf

ガイドとして生きていくためには、努力が必要なのは言うまでもありません。通訳案内士の資格さえとれば、インバウンドの波に乗って仕事はたくさん来る、と思っている方も少なくありません。我々は思います。そんなことは断じてない!努力しない人には、仕事は来ません。
(どの職業でも当たり前ですが‥)

最初からいきなり厳しい事を書きましたが、逆に言うと、しっかり努力すると、お金もしっかりついてきて、やっぱり世界一ハッピーな仕事なのです!!!

我々も、ガイドさんがしっかり稼げる世界を作っていくため、必死で頑張っています。

[2] ガイド業界における変化

では、最近の業界における変化を見ていきましょう。大きく3つに分けることができます。

  1. 1インバウンド業界の成長
  2. 2通訳案内士法の改正
  3. 3デジタルデバイスの進化

まず、「インバウンド業界の成長」です。
これは日々新聞やテレビなどで見ていらっしゃるのでわかるかと思います。もっと身近には、街に外国人旅行者が歩いている場面を、よく目にするようになりましたね。とにかく大きな流れが来ている、そこを頭に入れておいてください。これは一時的なブームではない、日本が人口減少の中で、国が観光を産業にしよう、と決めている長期的な大きな流れなのです。

次に「通訳案内士法」の改正です。
2018年1月より、この法律が改正されました。簡単に言うと、これまで“通訳案内士の資格を持たない人が、外国人を日本語以外で案内して報酬をもらってはいけなかった”のですが、誰でもやってよくなった、という事です。これは大きな変化ですね。実は通訳案内士というのは、言語に関する唯一の国家資格で、取った人は非常に優遇されていました。が、上記のインバウンドの需要に求める形で、革命が起きたのです。

自由競争となり、ガイド側にも、"質”を求める傾向が強まりました。私は、すごくいい方向性だと思っています。というのも、ある一部の昔のタイプの通訳案内士の方々は、特に努力せずに仕事を得ることができた。ゲストの変化に合わせなくても仕事が来ていたのです。そこを是正する意味では、賛成です。ただ、どこかで話す予定ですが、今まで資格を持ってやっていた人、現在を資格を目指してやっている人のために、資格のあり方を考えた方がいいとは思います。

そして最後に、「デジタルデバイスの進化」です。
最近だとPOKETALK(ポケトーク)のCMをよく見ますね。アプリだと、Google Translateや、VoiceTra(ボイストラ)などが有名です。これは、ガイドのしゃべる内容において、大きな変化をもたらします。要は、通訳ガイドの、”通訳”だけでは価値はほとんどなくなる、という意味です。

看板に書いてある事を翻訳してしゃべる、Wikipediaに書いてあることをしゃべるだけでは、ゲストは全く価値を感じなくなってきています。ストーリーテリング能力、エンターテインメント能力がいままでより重要視され、必要になってきているのです。

[3] エクセレントガイドが持つ3つの愛とは

私どもは、本当に多くのガイドさんと話をし、また、ガイドをしているところに同行してきました。
ガイドは、ゲストはもちろんのこと、バスなどの交通の方、エージェント、ガイド仲間などから好かれる必要があります。何故かと言えば、彼らとの良好な関係が、ゲストへのサービスを左右するからです。

そんな中で、みんなから好かれる、エクセレントガイドさんには、『3つの愛』があるなぁ、と日々感じます。

1つ目は『ゲストへの愛』
ゲストへの愛情がないガイドは、論外ですね。
2つ目は『観光地への愛』
ステキなガイドさんは、観光地やサプライヤーからも好かれます。ゲストの希望をただ受けるだけでなく、サプライヤー側の気持ちも分かったうえで、ゲストとやり取りするからですね。一つ目が出来ていても、二つ目が出来てないガイドさんも多く見受けられます。
3つ目は『ガイド業への愛』
世界一ハッピーな職業を愛していただきたい、そして、日本のガイドを世界一のクオリティにするために、みんなでタッグを組んでいければと思っています!
何卒宜しくお願いいたします。

次回は、ガイド業の超基礎〜その2〜をお届けします。ご期待ください!

以上

ご意見やご感想があれば何なりと連絡をください。必ずご返答差し上げます! →info@knotworld.jp

・執筆者:河野 有、ノットワールドについてはこちら